今回は小説を紹介させて頂きます。
重松清の「とんび」。
感動の一冊ですので、是非ご一読ください。
- 「とんび」重松清
- まとめ
「とんび」重松清
本書は、父親と子の親子物語です。
すぐに感情的になって大声を上げたり子どものように拗ねてしまう純粋な父親ヤスと、愛され上手でたくさんの人の愛情の下で育っていく息子アキラの人情劇となっています。
誕生から、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、社会人、結婚と成長していくアキラと、ヤスのなんとも言えない関係性。
反抗期や大学に伴う上京など、自分とも重なりとても感動してしまいました。
わがままな父ヤスと優秀な息子アキラを、「とんび」と「鷹」になぞらえたタイトルとなっています。
子を思う父、父を思う子、それぞれの思いに寄り添うことのできる小説となっています。
地元に残ってほしい父の気持ち、それを知りながらも勇気と希望を胸に東京へ向かう子の気持ち。とても考えさせられます。父のことを思い東京で一生に暮らそうとする子の気持ち、子が帰ってこられる場所を守りたいという父の気持ち。
お互いがお互いのことを思っているからこその意見のすれ違い。
父にとって、子にとって、何が正解なのか。どこまでが自分の人生で、どこからが誰かの人生なのか。どこまでが相手を思うアドバイスなのか、どこからが自分勝手なわがままなのか。
お互いのことを思い合っているからこそ意見がぶつかることがあるということ。
正解も間違いも存在しない。そこにはただ相手を思う愛があるということ。
自分たちの選択に満足できたのであればそれがすべてだということ。
たくさんのことを学べる一冊です。何よりも親子愛を感じることができるのではないでしょうか。
もっともっと早く読んでいればよかったなと思わされる一冊でした。
是非お手に取ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
最近、「会社を良くするためにはどうすればいいか」という議題で社内の有志団体で良くディスカッションをします。今はブレストをしている段階です。ブレストのルールとして、相手の意見を否定せずに一意見として尊重することが重要視されています。
しかし、それを続けている中でなんとなく違和感を感じるようになりました。
ブレストのルールはよく理解できるものの、いいアウトプットを出すためには必ず意見の衝突が生じるはずだし、そうあるべきです。今まで達成されることのなかった難しい問題に取り組む中で、その解決策を模索するのだとしたら、当然いろんな意見や価値観が衝突するはずなのです。ちょうどヤスとアキラのように。
これからディスカッションを進めていく中で、そういうものがなかったとしたら、みんなが本気で取り組めていない証拠だし、問題を解決する画期的な案なんて出てくるはずはないと感じます。
そういうディスカッションを行う中で、自分が少数派の意見になることは当然あるでしょう。そうすると、意見の違う自分のためだけにこんな時間を使うべきなのだろうかと迷うことが必ず出てくるのです。どこまでがチームにとって大切なディスカッションで、どこからが自分の価値観を誇示するための無意味な自己主張なのか。
しかし、そこに明確な正解・不正解があるわけじゃない。
あるのは本気で会社をよくしようという思いだけ。
自分が思うベストを尽くすことがきっと最終的に最高のアウトプットに繋がるし、中途半端なところで妥協することになんて意味はない。
正解がないからこそ、自分がやっていることが正しいのかどうかが分からない。
どうせ分からないなら、正解かどうかなんて気にせずにやり切るしかない。
親子愛がテーマの本書とは少し逸れてしまいましたが、そんなことを考えされた一冊でした。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
本記事はあくまで830の主観を織り交ぜた上で、書籍の紹介をさせて頂いております。書籍との食い違いが生じてしまっている場合もございます。ご理解頂けますと幸いです。
正確な情報については、是非原本をご購入の上、お読み頂けますよう宜しくお願い致します。
今後も宜しくお願い致します。