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ムハマド・ユヌス自伝(上・下)


本書は、バングラデシュの貧困を解決するために、マイクロファイナンスを提唱したムハマド・ユヌス氏の自伝です。
ユヌス氏はアメリカの大学などで勉学に励んでおりましたが、バングラデシュの独立を機に、祖国を救うために帰国しマイクロファイナンスのビジネスを起ち上げました。教授でありながら、バングラデシュの最貧困層の方々と触れ合いながら、貧困問題を解決する手立てを模索しました

ユヌス氏はバングラデシュの最貧困層の原因が月10%にも上るような高利貸しであると考えました。字も読めず、計算もできない貧困層の人たちは融資を完済できるという信用がなく、既存の金融機関からは融資を受けることができません。そのため高利貸しに手を染めることとなり、高い利子を返すためだけに毎日働き、利益は全て高利貸しに持っていかれてしまうという現実があったのです。
しかし、ユヌス氏は貧困層の女性たちと会話をする中で、彼女たちに融資を返済するだけの力があることを見い出します男性社会の中でお金管理などに触れたことがなかった女性たちですが、毎日必死に働き、高い利子を返し続けている彼女たちであれば、真っ当な利率の融資を適切にマネジメントし、貧困層を脱却することができると考えたのです。

彼女たちはこれまで編み物などを作って生計を立てていましたが、お金がないため材料費は誰かに立て替えてもらう必要がありました。そこで頼っていたのが高利貸しです。高利貸しから材料費を立て替えてもらい、作った商品を返済として高利貸しに売却する。高利貸しは不当に安価な価格で商品を買い戻していたため、利益は全て高利貸しのものとなり、彼女たちには雀の涙ほどの利益しか残らず、生活に苦心していたのでした。
そこでユヌス氏は彼女たちが自分で材料を購入できるよう、真っ当な利率で融資を行いました。これこそがマイクロファイナンスです。彼女たちは自分たちで材料を仕入れ、作った商品を真っ当な価格で市場に売却し、真っ当な利益を上げることができるようになりました。その利益の中から利子を返していくのです。マイクロファイナンスを通して、自分たちでビジネスを完結できるようになった女性たちは家畜や樹木といった確かな資産を築き、貧困から抜け出すことができたのです。
たった数ドル、数十ドルのマイクロファイナンスによって彼女たちは彼女たちの生活を取り戻したのです。

ユヌス氏が行ったマイクロファイナンスは、たった数ドルのお金を融資しただけです。しかし、マイクロファイナンスはバングラデシュに止まることなく世界に広がり、各国で貧困を救っています
ユヌス氏は既存の金融機関が融資をためらっていた貧困層の女性たちにマイクロファイナンスを行いました。それが世界を変えようとしています。貧困の現場に行き、会話を重ね、金融機関が気付かなかった彼女たちの信用を発掘したのです。
ユヌス氏は既存の金融機関と全く逆の方法を開発しました。貧困層に、低利で、短い返済期間の融資を行ったのです。

ユヌス氏のグラミン銀行は最貧困層へのマイクロファイナンスを行う中で、100%の返済率を目指しています。そして現に90%以上の返済率を実現しているそうです。貧困層の方々は融資してくれたことに感謝に、毎日必死に働き、そして確実に融資を返済してくれると言います。
一方で、バングラデシュ工業開発銀行という政府系の金融機関は、十分な審査を行った上で比較的裕福な企業に融資を行うにも関わらず、その返済率は10%にも満たないと言います。裕福な人たちは各国から援助として集められた政府のお金を貪る。貧困層の人たちはマイクロファイナンスを通して確かな資金を得て、懸命に働きビジネスを立ち上げる。

何が正解か分からない世の中ですが、ユヌス氏が掲げる「貧困のない世界」を応援できればと思います。