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830の数学_A_4_整数の性質

今回は、「A-4 整数の性質」を振り返っていきます。
数A+1の分野もこれが最後となります。
整数の性質は、証明問題と不定式がポイントです。
余りを使った証明方法・不定式における整数界の絞り込み方を重点的に確認しておきましょう。

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目次

  • 概要
  • 考察
    • A-4-1 最大公約数と最小公倍数
      • A-4-1-1 約数と倍数
      • A-4-1-2 素因数分解
      • A-4-1-3 約数の個数と和
      • A-4-1-4 互いに素
      • A-4-1-5 最大公約数と最小公倍数
    • A-4-2 整数の割り算
      • A-4-2-1 割り算における商と余り
      • A-4-2-2 あまりによる整数の分類
      • A-4-2-3 余りの性質
    • A-4-3 合同式
      • A-4-3-1 合同式とは
      • A-4-3-2 合同式の基本性質
      • A-4-3-3 合同式の性質
    • A-4-4 ユーグリッドの互除法と不定式
      • A-4-4-1 割り算と最大公約数
      • A-4-4-2 ユーグリッドの互除法
      • A-4-4-3 不定式
    • A-4-5 分数と小数・n進法
      • A-4-5-1 分数と小数
      • A-4-5-2 n進法
  • まとめ

概要

A-4 整数の性質

今回が数1+Aの最終分野となります。最後の分野は「整数の性質」になりますが、難関校を受験する場合はかなり差がつく分野だと830は感じます。特に、数学1+Aの中では一番差がつく分野です。証明問題があるという点もありますが、単純に不定式というのが難しい。難しいですが、その分だけ周りと差がつけられる分野になっているので、しっかりと学習することをおススメします。

A-4-1 最大公約数と最小公倍数では、倍数の性質や素因数分解など、中学受験で学ぶ内容を高校レベルに引き上げて考えてみましょうという問題です。指数の考え方も必要になるので少し初めはとっつきにくいですが、指数関数を勉強した後に戻ってくるとさらに理解が進むのではないかなと思います。

A-4-2 整数の割り算で大切なのは、余りによる整数の分類です。頻出の署名問題なので、しっかり確認しておきましょう。このような有名な証明形式はしっかり頭に入れておきましょう。有名な証明手法に対しても、「ここが思いつくかどうかセンスなんだよね」みたいに言う人がいるんですけど、それはセンスじゃなくて勉強不足です。化学で言ったら、元素記号知りませんでしたレベルの話です。数学の問題で求められる最低限の知識がどこまでなのか、どこからは問題の中で考えていくところなのか、しっかり自分の中で境界を決めて振り返りに役立てていきましょう。

A-4-3 合同式は発展内容です。大学受験で用いることもできますが、必修内容ではないと思います。しかしながら、A-4-3の余りの性質とリンクしている部分で、整数問題の理解に役立つところではあると思うので、基本的な使い方は覚えておいて損はないと思います。特に難関校を受けるのであれば、視野が広がる内容なので確認しておくといいでしょう。

A-4-4 ユーグリッドの互除法と不定式はセンターでも出題される部分です。ユーグリッドの互除法は考え方を知っていれば後は作業なので、しっかりと確認しておきましょう。不定式、ここが一番差がつくところです。プログラミングなどでも、整数という概念を考慮するだけで計算が膨大になって処理が難しくなります。数学でも同様に整数という分野は非常に難しい。しっかりとその部分を認識して演習を重ねていけるといいでしょう。様々な考え方がありますが、正直経験していないと解けるはずがない問題も多々あります。演習の中で少しずつレベルを上げていけるといいでしょう。

A-4-5 分数と小数・n進法は完全に知識問題です。分数と小数では、循環小数などの考え方や表現方法を確認しておきましょう。また、n進法は指数の考え方を用います。A-4-1同様に、指数関数をしっかり勉強して、指数に慣れ親しんでから見直すと理解が進むのではないかなと思います。

考察

A-4-1 最大公約数と最小公倍数

A-4-1-1 約数と倍数

整数kを用いて、a=kbと表される時、bはaの約数であり、aはbの倍数である
併せて、2,3,4,5,6,8,9などの倍数の見分け方も確認しておきましょう。

A-4-1-2 素因数分解

素因数分解は中学受験で習うような内容なので難しくはないと思いますが、ここでは指数と絡めて表現方法を確認しておきましょう。

A-4-1-3 約数の個数と和

約数の個数と約数の総和の考え方はしっかり確認しておきましょう。考えても導くことのできる公式ですが、知っていて損はないので、形ごと覚えておくといいでしょう。公式を覚えた上で、意味も理解できていれば、使うたびに間違っていないか確認することができるので、しっかり意味も抑えておくといいでしょう。

A-4-1-4 互いに素

「互いに素」とは、2数a, bの最大公約数が1であることを指します。証明問題などでも鍵になってくるポイントだったりするので、頭の片隅に置いておきましょう。

A-4-1-5 最大公約数と最小公倍数

最大公約数・最小公倍数について、ここでは意味を抑えるだけではなくて、式で理解できるといいでしょう。

2数A, Bについて、最大公約数をg、最小公倍数をlとする時、A=ga、B=gbであるとすると、
1, aとbは互いに素である
2, l = gab = aB = Ab
3, AB = gl


という風に数式では表現されます。

A-4-2 整数の割り算

A-4-2-1 割り算における商と余り

整数a, bについて、
a = bq + r ( 0 ≦ r < b )
となる整数q, r は一意に定まる。


上記のように整数の割り算は定義されます。
割り算は小学生から当たり前にやってきた内容ですが、高校生レベルにバージョンアップしていきましょう。

A-4-2-2 余りによる整数の分類

すべての整数をある整数で割り算した時の余りによって分類するという有名な証明方法の一つです。しっかり確認しておきましょう。

A-4-2-3 余りの性質

A = A’m + R
a = a’m + r
とする時、(正し全ての文字は整数を表す)
1, A + aをmで割った余りは、R + rをmで割った余りに等しい
2, A – aをmで割った余りは、R – rをmで割った余りに等しい
3, Aaをmで割った余りは、Rrをmで割った余りに等しい
4, Anをmで割った余りは、Rnをmで割った余りに等しい

が余りの性質になります。
いずれもA-4-2-1を把握していれば、問題なく導くことができるので覚える必要はありません。830もこんな形で項目分けされていることをブログを書きながら知りました笑。

A-4-3 合同式

A-4-3-1 合同式とは

合同式とは、整数問題で用いるmod(モッド、モジュロ)や≡を利用した余りの表現手法です。

A = am +r
B = bm + r
となる時、
A ≡ r (mod m)
B ≡ r (mod m)
A ≡ B (mod m)
と表すことができる。


と言ったように、ある整数で割り算した時の余りについての表現手法です。何の整数による割り算を考えているかという点を、(mod m)で表現しています。

A-4-3-2 合同式の基本性質

1, 反射律:a ≡ a (mod m)
2, 対象律:a ≡ b (mod m)の時、b ≡ a (mod m)
3, 推移律:a ≡ b (mod m), b ≡ c (mod m) の時、a ≡ c (mod m)

A-4-3-3 合同式の性質

a ≡ b (mod m) , c ≡ d (mod m)の時、
1, a+c ≡ b+d (mod m)
2, a-c ≡ b-d (mod m)
3, ac ≡ bd (mod m)
4, n∈Nの時、an ≡ bn (mod m)

A-4-4 ユーグリッドの互除法と不定式

A-4-4-1 割り算と最大公約数

2つの自然数a,bについて、a = bq + r (q∈Z, r∈Z, 0≦r<b)とする時、
aとbの最大公約数は、bとrの最大公約数に等しい


かなり複雑で国語のようなレベルになってきましたね笑。しっかりと理解した上で、式ごと覚えておきましょう。
整数問題では、国語力・論理力が問われます。大学受験は教科に限らず、国語・数学・英語・理科・社会、すべて論理力だけで戦うことができます。特別な発想やひらめきは全く必要ありません。「論理力」という所に着目しながら勉強を進めていけるといいでしょう。

A-4-4-2 ユーグリッドの互除法

ユーグリッドの互除法は、A-4-4-1で紹介した割り算と最大公約数の関係を繰り返していく作業です。最終的に、r=0となる時のbが最大公約数になります。センターで出題される時は、かなり計算がややこしいかと思いますが、落ち着いて処理できるといいでしょう。
凡ミスせずに正確に作業をこなしていく力も受験では問われています。

A-4-4-3 不定式

一般的に方程式というのは、未知数と等式の数が等しくなっています。未知数の数だけ等式が存在すれば、答えを一意に定めることができますが、不定式の問題では未知数に対して等式の数が足らない問題を指します。変数a,bに対して式が一つしか与えられていない、変数a,b,cに対して式が2つしか与えられていないような問題です。
一般的にこのような問題は解くことができず、解は一意に定まりません。しかし、「変数が整数である」という条件を付けくわえることで解を導いていくことができます。解はいくつになるかは分かりませんが、有限個に絞り込んでいくことができて、それら全てを解とする特殊な問題です。考えられうる整数解を過不足なく解答しないといけないので、非常に難しい問題となっています。
難関校ではよく出題され、受験生の中で差がつきやすい問題となっています。過不足なく解答を導くというのは、A-1 場合の数で学んだ書き出し力が必要になります。不定式の問題でよく間違ってしまうという人は、A-1の分野を一度見直して、樹形図などを用いた書き出し方を確認するといいでしょう。一見全く関係ないような分野が役立つことは多々あります。目先の部分にとらわれず、広い視野で問題を分析し、分野の繋がりを意識できるといいでしょう。

A-4-5 分数と小数・n進法

A-4-5-1 分数と小数

分数は、整数・有限小数・循環小数に分類されます。循環小数の表現方法や考え方を確認しておきましょう。循環小数の問題では、数列の考え方が必要になるところがあるので、数Bで数列の考え方を確認してからまた見直しておきましょう。

A-4-5-2 n進法

n進法もセンターなどではよく出題されます。ここも指数を用いるので、指数関数を勉強してからもう一度見直すと理解しやすいと思います。
イメージできるようになるまで少しややこしいところですが、パソコンの理解などにも役立つところなのでしっかり確認しておきましょう。

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まとめ

今回は、A-4 整数の性質を振り返りました。
余りによる分類やユーグリッドの互除法のように手法を覚えてしまったら大丈夫という所もありますが、指数や数列などといったまだ学習していない分野の考え方が必要になる所もありました。今完璧に理解する必要はないので、ざっくりと目を通して問題を解いて、難しかったところはそのまま置いておきましょう。数2+Bを勉強してから改めて見直すと理解しやすいのではないかなと思います。

これから数2+Bの範囲になっていきますが、数1+Aで習ったことがベースとなって、さらに高度な内容を学んでいくことになります。しっかりと土台を固めてから数2+Bに進んでいくことで、効率よく理解を進めていくことができるのではないかなと感じています。中途半端に数学が得意な人は、微積や三角関数といった難しい問題ばかりを解いて、基本的な部分を疎かにしてしまいがちです。発展レベルの数2+Bを勉強しても数2+Bのスコアしか上がりませんが、ベースとなる数1+Aをしっかり勉強すれば数学全体のスコアを伸ばしていくことができます。830はむしろ数1+Aの方が重要な分野であると考えています。甘く見ずに心して取り組んで頂ければいいなと思います。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
今後も宜しくお願い致します。

P.S.

今回で数1+Aの分野を完走しましたが、次回は今一度全体を通して見直しを入れておこうと思います。
数学を学ぶ上で、受験勉強をする上で、大切にしていたところについても今一度お伝えしたいと思っているので、是非読んで頂ければなと思っています。
宜しくお願い致します。

また、質問や改善点がありましたら、お問い合わせリンクやTwitterのDMでご意見頂ければ幸いです。
重ねて宜しくお願い致します。