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830の経歴_12(新領域創成科学研究科)

今回は、
大学院での生活について紹介させて頂きます。

概要

学部時代は、
工学部機械工学科で、
Friction Fade Out (FFO)と呼ばれる摩擦現象について、
研究を行っていた830ですが、
エネルギー分野の研究を行うために、
新領域創成科学研究科
という研究科に進学しました。

工学部では、
熱流体や回転機といった形で、
エネルギーに関わる基礎研究が行われていたのですが、
830が進学した研究室では、
電気という二次エネルギーをどのように利用していくのか、
よりビジネス目線で研究を行っていました

新領域創成科学研究科と呼ばれる研究科は、
千葉県の柏キャンパスで研究を行います。

まだできて20年ほどしか経っておらず、
歴史の浅い研究科で、
試験科目は英語と数学だけと、
大学院試験などは比較的簡単です。

推薦入試などを利用すると面接だけで入学することも可能なので、
他の四年制大学高専からのロンダリング生が多く、
また、
留学生も非常に多い事が特徴的です。

理系だけではなく、
文系の人も進学して生きているので、
結構カオスな研究科でした笑。

東京大学大学院卒という最終学歴が必要な方には、
一番コスパよく入学することができるので、
そういう点でも新領域創成科学研究科はおススメです。

大学院では、
主に研究を行うのですが、
授業も多少履修します。

830は人間環境学専攻という専攻の授業を履修していましたが、
環境問題やパリ協定、SDGsなどの授業に加え、
ビジネス寄りの授業も多く、
プロジェクトマネジメントや意思決定論など、
チーム運営のための授業もたくさん受ける事ができたので、
非常に勉強になりました。

環境・エネルギーに関する授業では、
環境問題などの概要理解をしっかり行う事ができました

こういう事を学びたいという目標意識をもって、
授業を受けると、
授業の質が全然変わってくるのだなと実感しました。

授業に限らず、
どのような経験をする時も、
その経験から自分は何を学ぶことができるのかを、
しっかり意識しながら経験を積んむことが大切だなと思います

研究では、
電気自動車(EV)を用いたデマンドレスポンス(DR)に関する研究を行いました。

簡単に言うと、
電気会社が電気が多すぎて困ってますっていう時は、
EVを充電してあげる事で余った電気を吸収してあげ、
電気会社が電気が足りませんっていう時は、
EVにたまっている電気を売ってあげる事で、
電気の需要と供給を一致させる役割をEVにさせるというのが、
EVDRの基本的な考え方です。

近年では、
太陽光発電が普及し、
昼間は電気が余り、
夕方は電気が足りなくなるという問題が見られます。

その問題に対して、
昼間にEVを充電してあげて、
夕方は電気会社にその電気を売ってあげるという、
一日周期のDRが注目されています。

詳しく説明すると非常に長くなるので、
これくらいにしておきますが、
とりあえず、
みんなの自動車、
家に停めてるだけで使ってないんだったら、
社会のために使わせてもらってもいいですか、
っていう考え方ですね。

現在、
日本には約6000万台の車がありますが、
そのうち90%は常に停まっているという調査があります。

その停まっている自動車をうまく利用していこうという研究です。

その中で、
830はEVDRのシステム構築において、
どのような点にどれだけ注意を払わないといけないのか、
また、
EVDRを導入することによってどれだけのメリットを得る事ができるのか、
について研究を行いました。

元々、
水素に関する研究を行いたかったのですが、
その願いは叶わず、
電気の研究を行う事になりました。

しかしながら、
電気に関する研究を行う事で、
電気の問題点や水素の可能性を、
改めて考え直すいい機会を頂くことができました

ここで学んだことを、
今後に活かしていきたいと考えています。

考察

電気自動車の限界

EVDRの研究の根底には、
「使わずに停められている自動車をうまく利用できないか」
という考え方があります。

それに対して830は、
存在する自動車の9割が停まっているという現状は、
自動車の供給過多が原因だと考えています。

一方で、
1人1台の自動車を保有する時代は終わっていくのではないでしょうか。

現在は都心に住んでいる人でも、
自動車を持っている人はたくさんいます。

週末しか自動車に乗らないのに、
「自動車を持っててナンボ」みたいな、
見栄のために自動車を持っている人はたくさんいます。

しかしながら最近では、
カーシェアなどが流行り始め、
若者の中には、
自動車を保有する方がコスパが悪いという事に気付いた人が、
たくさん現れ始めています。

カーシェアなどがもっと流通していくと、
出回る自動車の絶対数が減っていくことが考えられます。

また、
自動運転などが話題になる昨今、
自動車を個人保有しなくなっていくのではないでしょうか。

自動車も将来的には電車のような、
公共交通の一つになっていくのではないでしょうか

常に路上には自動車が走り回っていて、
どこかに行きたい時は、
空いている自動車に乗って目的で降ろしてもらう。

路上にはタクシーしかいない状態です。

さらにそのタクシーは全部無人の自動運転。

そういうシステムができた時に、
コスパを良くしていくためには、
人工知能(AI)などを用いて走行経路を最適化し、
できる限り自動車が停まっている時間を少なくするように、
効率化されていくはずです。

つまり将来的に、
自動車の台数は減り、
各自動車の停車時間も短くなっていく、
と考えられます。

そういった未来の中で、
電気自動車の限界が何かというと、
充電に何時間も要してしまうという問題です。

ガソリン車では数分で燃料を満タンにできるのに対し、
電気自動車のバッテリを満タンにするためには何時間も要してしまう。

充電というのは、
化学反応であるため、
そのスピードを上げるというのは難しく、
流体の圧力という物理法則によって燃料を充填する、
ガソリン車のような方式には敵わないのです。

効率的に自動車を使うためには、
自動車の停車時間を少なくしていかないといけないのに、
充電するために何時間も使わないといけないというのは、
ナンセンスだと思うんです。

それに対して830が注目しているのが燃料電池自動車(FCV)です。

水素を燃料として自動車を動かすFCVでは、
燃料を瞬時に充填することができます。

EVの次はFCVが来ると830は考えています。

FCVはTOYOTAのMIRAIなどが有名ですが、
今後普及していってほしいと考えています。

東京都知事の小池さんも、
結構水素などには理解を示してくれているらしく、
東京オリンピックでも水素を強く押し出し、
燃料電池バスを走らせるなど、
水素社会には追い風が吹いていると830は感じています。

環境問題によって、
EVが注目されていますが、
将来的には経済性を考えた結果、
FCVが生き残るのではないかと、
830は期待しています。

FCVに興味を持って頂けましたら、
是非検索して頂けますと幸いです。

f:id:basao830:20200302163620p:plain
TOYOTA MIRAI (https://toyota.jp/mirai/)
f:id:basao830:20200302164146p:plain
HONDA CLARITY_FUEL_CELL(https://www.honda.co.jp/CLARITYFUELCELL/)

水素の可能性

電気自動車の限界と合わせて、
燃料電池自動車の可能性を説明させて頂きました。

これも水素の可能性の一つです。

他にもエネルギーキャリアとして、
水素が電気に優る部分は2つあります。

それは、
貯蔵ができる点と輸送ができる点です。

大学院で研究を行っていく中で、
電力会社が抱える電気の悩みのほとんどは、
電気を貯蔵できないことに起因します。

スマホやイヤホンを使うくらいの小規模・短時間であれば、
バッテリに充電しておくことができますが、
電力会社が扱うような電気量になると、
それだけ大きなバッテリを作るというのは、
非常にコストがかかりますし、
バッテリを作ったとしても、
電気を長期的に貯めておくというのは難しいのが現状です

それに起因して、
電気を長距離輸送するものむずかしい。

バッテリを充電して、
持ち運べたら便利かもしれないですが、
上記の理由でバッテリを使う事はできません。

電気を輸送する際は電線を通す必要がありますが、
長距離輸送となると、
電線に電気を通している間に失われるエネルギーがバカになりません。

直流長距離送電のような事例もみられるのですが、
現状で電気の長距離輸送はできない
というのが一般的な見解です。

それに対して水素は、
高圧水素・液体水素・メチルシクロヘキサン・アンモニア等、
様々な形態にすることで、
水素を貯蔵し、輸送する事が検討されています。

これらの形態にすることによって、
長期貯蔵が可能になり、
長距離輸送も実現しようとしています。

川崎重工では、
オーストラリアの褐炭から水素を作り、
液体水素の形で日本に輸入する事業が進行しています。
(https://www.khi.co.jp/stories/hydrogen/)

千代田化工建設では、
ブルネイ化石燃料から水素を作り、
メチルシクロヘキサンを水素化することで、
水素を貯蔵して日本に輸入する事業が進行しています。(https://www.chiyodacorp.com/jp/service/spera-hydrogen/)

電気では考えられなかったエネルギーの長距離輸送が、
水素では可能になるのです。

これは非常に画期的な事です。

今まで日本で作りたい電気は、
日本で作らないといけなかった。

しかしこれからは、
日本で使いたいエネルギーを、
オーストラリアで作ってもいいし、
ブルネイで作ってもいい、
アフリカで作ったっていいわけです。

また、
水素の使い道ですが、
FCVの燃料として使う事も可能ですし、
水素発電や化石燃料に水素を混ぜて発電する技術も研究されています。

水素を燃料にして電気を作ることができれば、
電気の需要は必ずある以上、
水素の需要も必ずある事になります。

ただ、
現在はまだ化石燃料から水素を生産しています。

これでは真にクリーンなエネルギーとは言えません。

太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用して、
水素を生産し、
それを流通させることで、
持続可能な地球を設計することができると、
830は信じています。

まだまだ水素には課題が山積みですが、
少しずつ未来が見えてきていると思っています。

環境問題が叫ばれ、
エネルギーの変革の時代である今、
水素という事業に携わって、
その変革を肌身で感じていきたいと思います。

まとめ

今回は、
830の修士時代の研究を紹介して、
水素の可能性について、
紹介させて頂きました。

微力な活動ではありますが、
こういった活動の中で、
エネルギーキャリアとしての水素の可能性を、
広めていきたいなと考えています

また、
東大大学院進学を目指している方で、
興味を持った方は、
新領域創成科学研究科という。
裏技も検索してみてください笑。

今回も最後もまで読んで頂きありがとうございました。

今後も宜しくお願い致します。