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「AIとBIはいかに人間を変えるのか」のすすめ

今回は、「AIとBIはいかに人間を変えるのか」という書籍を紹介させて頂きます。

AIとは、Artificial Intelligenceの略で人工知能を表します。BIとは、Basic Incomeの略でベーシックインカムを表します。いずれも近年非常に注目されている技術や政策になります。

AIが発達することによってもたらされるインパクトは、「知的労働の価値の暴落」と「感情労働の価値の向上」である。また、BIによってもたらされるインパクトは、「働かざる者、食うべからず」という価値観を覆し、「働かなくても、食って良し」という新しい規範が生まれることである。
これがAI・BIに対する著者の立ち位置です。とても興味深い内容になっているので、紹介していこうと思います。

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AIとBIはいかに人間を変えるのか (NewsPicks Book) [ 波頭亮 ]
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  • 概要
  • 考察
    • 退屈の不幸
    • 真・善・美
  • まとめ

概要

こちらは3章構成になっており、第1章ではAIについて、第2章ではBIについて、第3章ではAI・BIを踏まえた社会の中でどのように人間は生きていけばいいのかについて書かれています。非常に分かりやすい構成なので、理解はしやすいかと思います。しかしながら、第1章、第2章はそれぞれについて専門的な部分まで説明しているので、読みづらいかもしれませんが、第3章まで進んで頂ければ、自分の生活に落とし込んで理解しやすい内容になっていると思います。第3章まで読んで頂くと非常に面白い一冊となっていると思うので、興味のある方は是非ご購入の上ご一読頂けますと幸いです。

第1章では、AIについて書かれています。AIとは何なのか、その歴史から強み・弱み、そしてAIと人間の棲み分けやAIの課題まで、説明してくれています。AIのざっくりと理解できる章になっています。
AIは、数字の解析といったデータの処理能力は高い一方で、感情の読み取りといった感覚スキルや肉体を用いる運動スキルが苦手です。それに対して、人間は人とのコミュニケーションといった感覚スキルやスポーツなどの運動スキルを得意とする一方で、計算や暗記といったデータ処理能力はコンピュータに比べると劣っています。つまり、「人間にとって容易なことがAIにとっては難しく、人間にとって難しいことがAIにとって容易である」という事ができます。近年は、多くの仕事がAIに取って代わられてしまうと述べられることが多いですが、それぞれ得意分野で棲み分けを行っていくことができるだろうというのが著者の考え方です。AIが苦手とするのは、身体性ベースのマルチタスク要素、直感・直観の要素、クリエイティブな要素の3つであり、これらを必要とする領域でこれからも人間は必要とされていくだろうと考えられています。
それでもやはり、AI技術を早く取得したものに富が集まり、貧富格差が助長されてしまうというのが、AIの課題として述べられています。貧富格差は、大きく経済を縮小させかねません。貧しい人はお金を使う余裕がなく消費が縮小する。消費が縮小した分、富める人の消費が増えればいいのですが、いくらお金が増えたとしても生活の中で行う消費は限界があって富める人の消費も伸びない。経済全体としては消費が縮小し、経済は破綻していくと述べられています。これがAIが抱える課題です。AIの普及によって貧富の差が拡大すれば、経済は縮小し、すべての人が不幸になってしまう可能性があるのです。

第2章では、BIの仕組みからその実現可能性や導入事例などを紹介しています。導入事例などを参考にして、世間で問題視されている課題が机上の空論である事を説明していくれています。
まずBIとは「全ての国民に対して生活を賄えるだけの一定の金銭を無条件で無期限に給付する」という政策です。無条件給付・全国民一律・最低限度の生活を営むにたる額の現金給付・受給期間は永続というのがBIの特徴です。全ての人に最低減の生活費を配る事によって、生きるための労働を排除し、やりたい事・好きな事に注力できる環境を実現することによって、幸せを水準を高める事ができるというのがこの政策の肝です。
ブラック企業で働く人の多くは、仕事を辞めたら収入が無くなる、生活できなくなるという強迫観念に駆られ、働かざるを得ない状況を企業に作られてしまっているのです。その仕事がしたいから、その仕事が好きだから辞めたくないという人は少数派なのではないでしょうか。BIを導入することによって、辞めても生活に困らないという環境を作ることができれば、より自由に仕事を選択することができますし、社員を大切にできないような企業や、やりがいが感じられないような企業は淘汰されていくのではないでしょうか。社員にブラックなまでに労働させないと利益を上げられないような企業は、ビジネスモデルが破綻しているのであって、改善が見られないのであれば淘汰されていくのが望ましい姿なのではないでしょうか。
BIについて議論する上でよく出てくる批判として、財源はどうするのか、仕事もせずにサボる人ばかりになるのではないかという批判が挙げらます。この本の中では、財源については詳しく説明してくれています。詳細は省きますが、BIによって不要になる給付金を利用したり、消費税率を欧州国家レベルにまで引き上げる事で財源の確保は可能であると述べられてます。また、BIはすべての国民に一律に給付されるシンプルな政策であるため、これまでの給付金のような審査が必要なくなり、大幅な人件費削減を行えることも大きな特徴であると述べられています。サボる人が増えるのではないかという批判については、これまでの導入事例を引き合いに出して説明してくれています。たくさんの導入事例がありますが、カナダで行われたミニマムインカムの導入時は、労働時間を減らした人は全体の5%であったと報告されています。さらに、その5%の多くも、単に楽をするために行われたのではなく、育児や勉学に時間を費やすという形で有意義に時間が使われたと報告されています。
現代の人々には、「働かざる者、食うべからず」という考え方が根付いてしまっているために、BIという政策は直感的に敬遠されてしまいがちなものではあります。これまでは全員が働かないと回らないくらいぎりぎりの世界で生きていたため、サボらないようにこのような考え方を植え付けられてきました。しかし、技術革新が進み、全員が働かなくても回るくらい余裕のある世界になっていこうとしてる現代において、「働かなくても、食って良し」という考え方も妥当であり、より自分の好きな事・幸せを追い求めながら生きていってもいいのではないでしょうか。

第3章では、AI・BIが導入される未来において人の在り方はどう変わっていくのかについて書かれています。AIによって人間の多くの労働が不必要になり、よりクリエイティブで感情的な仕事をこなしていくようになります。しかしながら、AIの課題として貧富格差の拡大が挙げられていました。貧富格差解消のためには富の再分配が必要であり、BIがその解決策であると述べられています。消費税は全ての人に等しくかかるため、逆進性が常に問題となりますが、富む人の方が消費は大きくなるわけで消費税の総額は大きくなります。それらを財源としてBIを導入すれば、富の再分配に繋がると考える事もできます。BIの課題としてBIを導入することによって働かない人が増えて経済が破綻する可能性が挙げられますが、AIなどの技術革新によって、働かなくても十分なレベルまで効率化を実現できれば問題ではないと考える事もできます。こういった点から、AIとBIを組み合わせることによって、人々は過剰な労働から解放され、自分の好きな事・やりたい事を自由に追い求めていくことのできる社会になっていくのではないかと述べられています。
そういったAI・BIの世の中で幸せに生きていくためには、やりたい事を見つけなければいけません。これから求められる能力は、「金を稼ぐ能力」ではなく「やりたい事を見い出す能力」である。やりたい事を見つけるために、積極的に経験を広げ、一つのことを楽しめるレベルまで修練を積んでいくことが大切であるとアドバイスしてくています。考察の「退屈の不幸」で830の考え方も紹介してみようと思います。

考察

退屈の不幸

大学に入って「退屈の不幸」というものを実感しました。2ヶ月もの長期休みが与えられた時、大学に入ったばかりの頃は何をしたらいいのか全く分かりませんでした。ボーっとテレビを見て、何をしてるんだろうって自己嫌悪に駆られる日々。やる事がないってこんなにつらい事なのかと実感させられました。大学生でこの「退屈の不幸」を知ることができて本当に良かったと思います。高校生の時のように毎日学校に通う多忙な日々から、そのまま会社に勤めて毎日通勤していたら、絶対この概念に出会う事はなかったと思います。「休みが幸せ」という概念の中で、毎週毎週土日を待ち焦がれながら人生を終えていたかもしれません。しかし、必ずしも暇が幸せでないと830は考えています。やりたい事があって、そのために努力している時が830は一番幸せを感じる事ができます。何もやる事が無くて、1日中寝ているような日々は自己嫌悪の塊でしかありません。だから、春休みでも毎日こうしてブログを書いて、誰かのために、自分の将来のために情報発信したいと頑張れている今がとても幸せです。
この本の中で、「人間は生きるために必需的に求められるか、社会のルールや権力によって強制されるか、或いは経済成長のためのプロパガンダに耽溺させられて消費中毒・レジャー中毒にでもならないと、何をなすべきかをなかなか決められない生き物なのだ。」という一節があります。BIによって生きるために必需的に何かを求められることはなくなります。多くの人は、生活をつなぐため、お金のために仕事をしているでしょう。しかし、考え方によっては、そのおかげで退屈の不幸を味わわずに済んでいるのかもしれません、働かなくてもお金あげるよって言われたら、初めはうれしいかもしれませんが、二週間、いや一週間もすれば暇がつらいと気付くのではないでしょうか。仕事以上の不幸を実感するのではないでしょうか。
そういった未来にならないように自分がやりたい事を見つけられるようになっておくことが大切だと思います。やりたい事なんて何でもいいと思うんです。ゲームでもいいし、釣りでもいいし、ドラマを見るでもいいし、旅行に行くでもいい。誰に何と言われようと私はこれを楽しむために生きているんだって自信を持って言える何かを見つけてください。これが好きだっていうと、周りの人に「遊んでないで仕事しろ」「そんなことやって何になるの」「そんなことしたってお金にならないよ」って言われるでしょう。そうです。お金にならないんです。誰の役にも立たないんです。けど、それでいいんです。830たちはお金のために生きている訳でもないし、他人の人生を生きている訳でもない。せっかく生まれてきたのだから、最大限楽しんで生きていければいいじゃないですか。お金なんか稼がなくても生きていける世の中になっていくんです。お金を稼ぐ必要なんてないんです。こういう考え方ってまだまだ圧倒的に少数派です。共感してくれる人はきっと少ないでしょう。だけど、自分の考え方の軸をしっかり持って、周りに踊らされずに、自分の人生を生きてください。「あー、この人、まだお金を尺度にしているんだな」って受け流せばいいです。自分がどういった時に幸せを感じるのか見つめ直してください。それが人に褒められた時、人にありがとうって言われた時、人に信頼された時であったなら、誰かのために働いてください。しかしそれは、決してお金のためや誰かのために働いているんじゃありません。自分の幸せのために働いているんです。自分が一番したい事が働く事だったというだけです。週末に趣味のゴルフに行くのも、週末に自分が進んで働くのも違いはありません。現代には、「勉強はみんな嫌いなもの」とか、「仕事はいやいやするもの」っていう固定観念が流布しすぎています。絶対にそれは真理ではないと思います。勉強や仕事が一番やりたい事になる事だってあり得ます。勉強や仕事と旅行や映画鑑賞に大きな違いはありません。自分がやりたい事をやればいい。

真・善・美

労働しなくてもいい状況の中で、人が取り組む対象としてまず挙げられるのは、「真・善・美」の三つだそうです。ギリシア時代に三大徳とされたものです。真理を求める学問、他社への貢献、そして芸術。こういった所に人間は本来価値を見い出している。あなたは週末何をされますか。買い物ですか、旅行ですか、カラオケですか、呑みですか。それらは一つもここには含まれません。誰に何を言われようと、私が一番幸せを感じれるのはこれなんだと言えるのであれば本当に素晴らしい事です。しかし、一回立ち止まって考えてみてください。「経済成長のためのプロパガンダに耽溺させられて消費中毒・レジャー中毒」になってしまっているだけかもしれません。マスメディアによって「これをしている人が幸せなんだよ」って言う固定観念を植え込まれているだけかもしれません。既得権益者の養分になってしまっているのかもしれません。本当に自分は何を求めているのか、自分を知る事は本当に大切です。

こちらの記事でもこの点について書いているので、良ければ合わせて読んでみてください。
https://wordpress.com/block-editor/post/830resale.com/142


マズローの五段階欲求説というのをご存知でしょうか。人間の欲求は、「生理的欲求→安全欲求→社会的欲求→承認欲求→自己実現欲求」と高度化していくと考えられています。生理的欲求とは、生きていくために必要な食欲・睡眠欲・性欲といった基本的・本能的な欲求を指します。安全欲求とは、安心・安全な暮らしへの欲求を指し、変化を避けようとしたり、お金を貯めようとしたりします。社会的欲求とは、友人・家庭・会社などに受け入れられたいという繋がりを求める欲求を指し、集団に帰属したいと思います。承認欲求とは、集団に帰属するだけではなく、他社から尊敬されたい、認められたいという欲求をします。自己実現欲求とは、自分の世界観・人生観に基づいて、「あるべき自分」になりたいと願う欲求です。自分が、今の時代がどこにいるかを再確認してみてはいかがでしょうか。高度になるほど、その多様性も増していきます。お金が有ればよかった今までとは違い、どんな集団に帰属したいのか、その集団の中で他者からどのように見られたいのか、それらを通してどういった生き方をしたいのか。AIやBIは確実に安全欲求までを担保してくれるでしょう。これからは一意な正解は存在しません。自分が何を求め、どうなっていきたいのか、しっかりと自分を向き合っていかないといけない時代になっていくのではないでしょうか。

https://ferret-plus.com/5369

まとめ

今回は、「AIとBIはいかに人間を変えるのか」という一冊を紹介させて頂きました。BIの考え方は本当に今までの考え方を根底から覆してくれます。こんな考え方があるんだ、こんな世界の捉え方があるんだと驚かされる部分も多いかと思います。刺激的な一冊なので、興味がありましたら、手に取ってみてはいかがでしょうか。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
今後も宜しくお願い致します。

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